2016年6月25日(土)寺根佳那 ピアノ・リサイタル【インタビュー】

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2016年6月25日(土)に日暮里サニーホール・コンサートサロンで
~神秘の鐘~ と題して、寺根佳那 ピアノ・リサイタル が開催されます。
 
リサイタルに向けての抱負をインタビューいたしましたので、
寺根佳那さんの演奏を心待ちになさっているファンの方々のために
このブログを書かせていただきました。
 
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寺根佳那:ピアノ
東京音楽大学大学院修士課程鍵盤楽器研究領域(ピアノ)修了。
ヤマハPTCコンサート金賞、推薦演奏会(ザ・シンフォニーホール)出演。
東京国際芸術協会第44回新人演奏会合格、審査員特別賞。
埼玉県芸術文化祭2010第3回熊谷ひばりピアノコンクールG1部門(大学・一般の部)金賞。
ハンガリー国立リスト音楽院交歓演奏会(ブダペスト・リスト記念館ホール)出演。
第18回太田国際音楽セミナーにて、イーゴリ・レベデフ教授によるマスタークラス受講。
現在、若手女性演奏家グループ「リュミエール」メンバー。
ラ・フォル・ジュルネ新潟「熱狂の日」音楽祭出演。秋篠音楽堂ロビーコンサート出演。
秋山徹也、荻野千里、村上隆、弘中孝、播本枝未子の各氏に師事。
日本演奏連盟正会員。東京国際芸術協会演奏家会員。
 
 
・今回のリサイタルに向けての抱負を教えてください。
 
今回のコンサートのサブタイトルである『神秘の鐘』。
ロマンティックであり、情熱的であり、神秘的であり、様々な要素を秘めた美しい名曲を揃えました。
西欧クラシック音楽においても、ロシアの文化においても鐘という楽器やその音色の模倣は重要なモチーフとして用いられてきました。
また、私自身10代の頃から、ピアノを演奏する上で、いつも鐘の音色を意識していました。
そして、『鐘』の音色をテーマとする曲に惹かれていました。
私が感じる『鐘』の音色を、心を込めて表現します。
皆様と会場でお会いできるのを楽しみにしております。
 
 
 
・演奏される曲の聴き所などを教えてください。
 
まずは、フォーレの舟歌第4番。舟歌とは、ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの歌に由来します。優しくゆったりとしたリズムや揺れ動く波の雰囲気、ロマン的な調の選定と、舟歌の特徴的なリズムで親しまれている曲です。
 
フォーレの夜想曲第6番は、「至上の美しさ」、「天上の音楽の清澄な光の印象」と評されている曲です。フォーレの傑作として広く認められている美しい曲です。
 
ラフマニノフの前奏曲「鐘」は、モスクワのクレムリン宮殿の荘厳な鐘の音にインスピレーションを受けた作品であり、ラフマニノフの最も有名な楽曲の一つです。
 
スクリャービンのピアノソナタ第9番「黒ミサ」は、悪魔的な作品で、神秘和音の頻出が印象的な名曲です。スクリャービンの神秘的芸術観、哲学、心理、独特の世界観を表現し、何かを感じて頂けたらと思っています。
 
リストの超絶技巧練習曲第11番「夕べの調べ」。平和な夕べに鳴り響く美しい教会の鐘の「調べ」。夕べの鐘の響きの描写によって夕暮れの情景を映し出したロマンティックな叙情に溢れる曲です。叙情的でスケールが大きく、大変美しい楽曲です。
 
スペイン狂詩曲は、「ピアノの魔術師」と呼ばれたリストの、超絶技巧が多彩に駆使されている華やかな曲です。副題として≪フォリ・デスパーニュとホタ・アラゴネス≫とあり、この曲では、2つのスペインの旋律が同じ扱いによって処置されています。民族的な旋律の要素もあり、絢爛豪華なピアニズムも印象的です。熱狂的な部分も魅力的で、情熱を感じる名曲です。
 
 
 
・あなたにとって音楽とは何ですか。
 
私は、3歳からピアノを始めました。
幼少期の「将来の夢」などの作文を見ると、ピアニスト・バレリーナ・モデルになりたいと書いてしまうような夢見がちな子供でした。
小学生の頃は、縁にも恵まれ、ピアノに夢中でした。
学校の授業が終わったら、走って帰宅し、深夜までピアノの練習をすることが日課であり、日々の楽しみでもありました。
小学5年生の頃、ピアニストとバレリーナを当時は目指していましたが、中途半端になるのが嫌だったので、両方は出来ないと思い、どちらかに道を絞る決断をしようと思いました。当時、ピアノのコンクールで毎年金賞を頂き、益々ピアノに夢中になっていたことや、当時の先生の勧めもあり、ピアノを選択しました。
当時、兵庫県に住んでいた私は、小学6年生の時に、大阪音楽大学附属音楽学園(現音楽院)ピアノセミナークラス(ピアニストコース)の受験を勧められ合格し、公立中学校に通いながら、毎週1~2回大阪音大まで通いました。セミナークラスでは、大学生の方と合同でレッスンを教授から受けていました。中学生の頃から、大学生の方と同じクラスでレッスンを受けていたことは大変勉強になり、貴重な機会を頂きました。
それから1年後、中学2年生の秋頃に、公立中学校の音楽の先生に強く勧められ、熱心に誘って頂き、東京音楽大学教授の方とコンサートに出演する機会がありました。その後、兵庫県から神奈川県までレッスンに通うことになり、また同時期にWレッスンの先生として、京都の先生を紹介して頂きました。この頃は、兵庫県の公立中学校に通いながら、毎週、大阪や京都、神奈川までレッスンに通う日々でした。
私は、兵庫県の公立高校の音楽科を受験しようと思っていたのですが、京都の先生にその事を伝えると、「東京に行かないなら私はもうレッスンはしないわ。」とおっしゃられ、東京音大付属高校を受験する事になりました。この時、受験の3ヶ月前でした。
受験の面接の際に、「これが貴女の人生の転機となりますね。」と面接官の方に言われました。その言葉が今でも忘れられません。
面接が終わった日に、母と物件探しをしました。多くの縁や導き、また周りの方の協力があったからこそ、こうやって今も音楽を続けられているということ。改めて思いを馳せると感慨深いものがあります。
音楽を通じて、どう生きるべきかを考える機会も多く、また自分の心の奥底にある感情に気付くことも多々あります。
自分が音楽を続けているのは、惰性なのか、日々の習慣としてなのか。それとも執着心だろうか。3歳から小学生までは、日々最低5~6時間、学生時代は8~10時間の練習をこなす日々でした。
人間関係に辟易してしまうことが多々あり、長年蓄積されていたものが重なり、音楽を愛していたにも関わらず、大学院修了後、(一時期)全て断ち切り離れました。
もう二度と人前で演奏をしようと思わないだろう。万が一またピアノを再開することがあったとしても、以前のように情熱を持って向き合えることはもうないだろう、と漠然と思っていました。
ピアノから離れていた時期は、自分が自分であるという感覚自体が薄れ、いつも物足りなさや虚しさを感じ、また苛々することも増えました。自分がこれまで保ってきたバランスが崩れるのを感じました。
兎に角、3歳からピアノに没頭してきた人生だったので、ピアノが全く無い生活、生き方がどういうものなのか、果たして自分にその生活が出来るのか、全く想像がつきませんでした。それまでの人生といえば、練習が生活の中心で最優先事項でした。一度離れたことにより、初めて人を愛することが出来たり、今まで見えなかった世界をたくさん感じ、学び、価値観が大きく変わりました。
ピアノ、また音楽がずっと自分の心の支えになっていたこと、自分の核であったことに気付きました。また、自分を表現出来る喜びを改めて感じました。
今は、これまでで一番心にゆとりがあり、喜びを持って音楽に向き合えています。
今回、このような素晴らしい演奏の機会を頂けたことに感謝しています。
人が生きていく中で、苦しみや辛いことの方が多いかもしれません。
試練の連続であって、試練を乗り越えていく過程においても、様々な事柄が降りかかります。
音楽によって、希望を感じたり、心が安らいだり高揚したり。
様々な感情を自身で感じ、恐れずに表現し伝えること。苦しい時であっても、心の拠り所にきっとなると思います。
私自身も、音楽を通して人生を謳歌したいと思っています。
 
 
 
160625
時間: 19:30開演(19:00開場)
 
料金: 全席自由 2,500円
 
プログラム:
フォーレ作曲 舟歌第4番変イ長調 Op.44 、夜想曲第6番変二長調 Op.63
ラフマニノフ作曲 絵画的練習曲 ハ短調 Op.39-1 、前奏曲「鐘」嬰ハ短調 Op.3-2
スクリャービン作曲 ピアノソナタ第9番 Op.68「黒ミサ」
リスト作曲 超絶技巧練習曲第11番「夕べの調べ」 、スペイン狂詩曲
 
 
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